避難器具の概要
避難器具とは火災発生の際に、避難のために使用されるものです。
本来は階段で避難していただくのが通常ですが、近年の火災の発生原因として「放火」と「放火の疑い」が無視できない割合を占めています。こうした場合に、失火の類では、まず燃えないところから火と煙が生じます。こうなると階段が使えなくなり、避難器具をご利用いただくことになります。また、就寝中等で火災の発生に気付かなかった方、逃げ遅れた方が、階段を使えない場合に、ご利用いただく避難器具です。
このような状況で使われる避難器具なので、その材質、強度、設置、維持等、関係諸法令によって厳しく条件が定められています。
避難器具は、その規格により、避難ロープ、避難ばしご、緩降機、救助袋、すべり棒、すべり台、避難タラップ、避難橋の8種類に分類されます。
これらの避難器具は、建設時に設置しますが、避難ロープ、避難ばしご、緩降機、救助袋に関しては、経年劣化、腐食、破損などにより、部分的な補修が発生する場合があり、その状況によっては、弊社で対応させていただく場合がございます。
避難ロープ
上端部を固定しつり下げたロープを使用し降下するものをいいます。 最も簡便な避難器具です。
避難ばしご
縦棒と横桟で構成される、いわゆる「はしご」です。金属製と金属製以外のものがあり、それぞれ、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしご、ハッチ用つり下げはしご(金属製に限る)に分類されます。
緩降機
使用者が他人の力を借りず、自重により自動的に連続交互に降下することができる機構を有するものをいい、常時取り付け具に固定されて使用する固定式と、使用時に取り付け具に取付られて使用する可搬式があります。井戸の釣瓶の動きと似た動きをするものです。
救助袋
使用の際、垂直又は斜めに展長し、袋本体の内部を滑り降りるものをいいます。学校の避難訓練等でお馴染みかもしれません。
すべり棒
垂直に固定した棒を、滑り降りるものをいいます。昭和の消防署では、出動時に使用されていました。
※映画「バックドラフト」「ゴーストバスターズ」でも、すべり棒を使ったシーンを見ることが出来ます。
すべり台
勾配のある直線状、又はらせん状の固定された滑り面を滑り降りるものをいいます。使い易さではこれに勝るものはありません。その代わり、費用は高額となります。
避難タラップ
階段状のもので、使用の際、手すりを用いるものをいいます。タラップとはオランダ語の trap(階段)が語源と言われています。
避難橋
建築物を連絡する橋状のものをいいます。屋上に設置するので、隣接する建築物がほぼ同じ高さであることや、建築物の所有者同士が、互いに設置を了解しなければなりません。避難タラップと同様あまり見かけない避難器具です。